各スタンスにはどんな特徴があるの?
結局のところ、どのスタンスを使ったらいいの?
こんにちは、リョウジです!
グリップがラケットと身体をつなぐ接点なら、スタンス(両足の構え方)は地面と身体をつなぐ接点になります。
グリップの握りに種類と特徴があるように、スタンスにも種類と特徴があります。
飛んできたボールが同じでも、スタンスを変えればその後の展開に影響を及ぼします。
わたしは以前テニスコーチをしていましたが、レッスンではスタンスを下記のように教えたり活用していました。
- 各ストロークに適したスタンスを教える
- 状況に応じてスタンスを変えれるようにする
- 各ストロークの矯正にスタンスを使う
この記事では、その経験を元にテニスで使うスタンスの種類と特徴を解説します。
- スタンスの種類と特徴がわかる
- セミオープンスタンスとオープンスタンスの違いがわかる
- どのスタンスを使ったらいいか目安がわかる
スタンスを深く理解すれば、テニスの上達を助け、ゲームも優位に戦えます!
【テニスのスタンス】種類と特徴
テニスのスタンスは、大きく分けると3種類あります。
- スクエアスタンス
- クローズドスタンス
- オープンスタンス
3種類のスタンスの特徴を解説します。
スクエアスタンス
【後ろ側から見たところ】
【正面から見たところ】
両足を結んだラインと打つ方向が同じになるのが、スクエアスタンスです。
テニスを始めると、最初に覚えるスタンスですね!
スクエアスタンスのメカニズム
スクエアスタンスは、下記の2つを組み合わせてボールを打ちます。
- 体重移動
- 回転運動
後ろ足から前足への体重移動をきっかけに、身体を回転させて打ちます。
スクエアスタンスの作り方
後ろ足は、前足への体重移動も計算しつつボールとの距離をとって決めます。
つま先は、打つ方向に対して垂直になるようにセットします。
後ろ足の膝を曲げ股関節を内側に捻ると、後ろ足に体重が乗りタメが作りやすいです。
後ろ足と前足のつま先を結んだラインが打つ方角に向くように、前足を決めます。
前足のつま先を斜め前向きにすることで、身体を横向きから前向きに回転しやすくします。
スクエアスタンスの特徴【メリットとデメリット】
最初に教わるスクエアスタンスですが、実際はごまかしのきかない難しいスタンスです。
スクエアスタンスで始まり、スクエアスタンスで終わる…そんな感じです。
スクエアスタンスのメリットは下記のとおりです。
- スイングの習得がしやすい
- 体重移動する方向にボールを打ちやすい
- 前後のフットワークで微調整しやすい
- 体重移動を調整すれば打点を前後にずらせる
スクエアスタンスは横向きからスタートするので、身体をしっかり回せればスイングの習得がしやすいです。
初心者にスクエアスタンスを勧めるのはそのためです。
テニス上級者でも、基本に帰るときは足を踏み込みスクエアスタンスで練習します。
スクエアスタンスは、体重移動する方向すなわちストレート方向にボールを打ちやすいです。
逆に考えると、前足を踏み込んだ方向にボールが飛んでいかない場合は、スイングに問題を抱えていたり打点が合っていないことがわかります。
スクエアスタンスは、前後にサイドステップやシャッフルステップ(細かいサイドステップ)がしやすいので、ボールとの距離を前後に合わせやすいです。
自分からボールへ迎えにいく場合に重宝します。
スクエアスタンスでは後ろ足から前足に体重移動しながら打ちますが、体重移動を調整すれば打点を前後にずらせます。
ボールが思ったより伸びてきた場合は、後ろ足に体重を乗せたまま打つことも可能です。
少々難しいですが、両足が前後に並んでいるからこそできるテクニックです。
次に、スクエアスタンスのデメリットを見ていきます。
- バランスがとりづらい
- 身体を捻る感覚がつかみづらい
- 体重移動をするため時間的余裕が必要
- 打点を左右にずらしにくい
- 左右のリカバリーでは足を1歩出す必要あり
スクエアスタンスは後ろから前に体重移動するため、前足で踏ん張れないと前方にバランスが崩れてしまいます。
この体重移動が曲者で、股関節の柔軟性を高めスタンスを広くとれないと、打つボールの精度も落ちてしまいます。
スクエアスタンスは横向きからスタートするため、身体を捻る感覚がつかみづらいです。
自然と身につけば問題ないですが、身体を捻れないとラケットを正しくインサイドにテイクバックできません。
スクエアスタンスでインサイドアウトのスイングを身につけるには、この捻りが必要です。
スクエアスタンスは、体重移動をするため時間的余裕が必要になります。
相手のボールに追い込まれているときには向かないスタンスです。
前後には調整しやすいスクエアスタンスですが、打点が左右にずれてしまうと調整が難しいです。
スタンスを決めたときボールに近づきすぎたり遠すぎたりすると、両足が前後に並んでいるため身体のバランスが崩れてしまいます。
ラケットをスムーズに振れたときの打点の位置を、しっかりと覚えておく必要があります。
スクエアスタンスは、リカバリーにもデメリットがあります。
左右に動いて打つときスクエアスタンスを使うと、足を1歩外に出してからリカバリーすることになります。
足を1歩外に出すと、その分時間がかかり、移動距離も長くなります。
スクエアスタンスを使う場面
スクエアスタンスは、下記の場面で使いやすいです。
- 移動距離が少ないとき
- ボールが浅く前進して打てるとき
- 時間に余裕があるとき
時間に余裕があるときは、サイドステップを使って1度下がり、前進しながらスクエアスタンスで打つのがおすすめ!
スクエアスタンスに関する記事はこちら。
クローズドスタンス
【後ろ側から見たところ】
【正面から見たところ】
スクエアスタンスから後ろ足を1歩背中側に引くと、クローズドスタンスになります。
主に、バックハンドストロークやスライスでお世話になるスタンスです。
クローズドスタンスのメカニズム
クローズドスタンスは、スクエアスタンス同様下記の2つを組み合わせてボールを打ちます。
- 体重移動
- 回転運動
後ろ足から前足への体重移動をきっかけに、身体を回転させて打ちます。
クローズドスタンスの作り方
後ろ足は、前足への体重移動も計算しつつボールとの距離をとって決めます。
クローズドスタンスをとる場合、スクエアスタンスよりもボールから離れた位置に後ろ足を決める必要があります。
後ろ足の斜め前方に前足を決めます。
前足のつま先を打つ方向に対して斜め前向きに踏み込むと、身体の回転が多少使いやすくなります。
前足のつま先を打つ方向に対して横向きに踏み込むと、身体の回転を抑えることができます。
クローズドスタンスの特徴【メリットとデメリット】
相手から見ると背中が見えるクローズドスタンスは、リーチが長くなるバックハンド側で多用します。
身体を正面まで回す必要がない薄いグリップと相性がいいです!コンチネンタルグリップで打つサーブやスマッシュもクローズドスタンスが適しています。
クローズドスタンスのメリットは下記のとおりです。
- コースを隠せる
- 身体を捻らなくてもインサイドにラケットをセットできる
- バックハンド側ではリーチが長くなる
クローズドスタンスは背中を見せるくらい肩が入るので、打つコースを隠す効果があります。
フォワードスイングの最中も、ラケットが身体に隠れてしまいます。
クローズドスタンスは、身体を捻らなくてもラケットをインサイドにテイクバックしやすいです。
そのため、グランドストロークでインサイドアウトのスイングを実現しやすいです。
そして、バックハンド側で遠いボールを追いかけるとき、クローズドスタンスがもっともリーチが長くなります。
バックハンド側でラケットを横に伸ばすには、相手に背中を向ける形になり、自然とクローズドスタンスをとるはずです。
次に、クローズドスタンスのデメリットを見ていきます。
- 前方が見づらい
- 身体が捻れない
- 身体を回しづらい
- 左右のリカバリーでは足を1歩出す必要あり
クローズドスタンスは、背中越しでボールを追うため前方が見づらくなります。
ボールには集中できるかもしれませんが、視野が狭くなります。
また、身体の捻り戻しを使えません。
積極的に身体の捻り戻しを使うオープンスタンスと対極のスタンスといえます。
クローズドスタンスをとってしまうと、良くも悪くも身体は回しづらくなります。
身体の回転をおさえたいスライスには向いていますが、身体を正面に向けて打つ厚いグリップには向かないスタンスです。
クローズドスタンスはバックハンド側でリーチが長くなりますが、リカバリーする際足を1歩外に出すとその分出遅れます。
リカバリー面では、スクエアスタンスと同じデメリットが発生します。
クローズドスタンスを使う場面
クローズドスタンスは、下記の場面で使いやすいです。
- スライスを打つとき
- バックハンド側に走らされたとき
- 打つコースを隠したいとき
クローズドスタンスに関する記事はこちら。
オープンスタンス
【後ろ側から見たところ】
スクエアスタンスから前足を1歩背中側に引くと、オープンスタンスになります。
フォアハンドストロークでは、使う頻度の高い必須のスタンスといえます。
オープンスタンスのメカニズム
オープンスタンスは、スクエアスタンスやクローズドスタンのように体重移動はせず、回転運動のみでボールを打ちます。
軸足(後ろ足)に体重を乗せ、身体を沈ませてタメを作ります。
そこから軸足を蹴り上げるのをきっかけに、身体を回転させてボールを打ちます。
軸足の脚力がないと、うまくオープンスタンスは打てません…
オープンスタンスの作り方
軸足となる後ろ足で、直接ボールとの距離をとって決めます。
前足のかかとを地面から浮かせると、後ろ足に体重が乗せられます。
前足の膝を後ろ足の膝に近づけると、股関節がねじられ、身体のターンも深くなります。
オープンスタンスの特徴【メリットとデメリット】
身体の回転を積極的に使えるオープンスタンスは、スイングが横振りになる高い打点で力を発揮します。
フォアハンドストロークのインパクトで身体が正面を向く厚いグリップと相性がいいです!
オープンスタンスのメリットは下記のとおりです。
- 身体の捻り戻しを使いやすい
- 準備もリカバリーも時間がかからない
- ボールとの距離がとりやすい
- ボールとの距離が合わなくても調整しながら打てる
- フォアハンド側ではリーチが長くなる
オープンスタンスは、軸足を中心に身体を回転させる打ち方になります。
体重移動をともなう他のスタンスと比べて、身体の捻り戻しを体感しやすいです。
実戦でオープンスタンスがよく使われるのは、準備もリカバリーも時間がかからないからです。
スクエアスタンスやクローズドスタンスでは前足を踏み込む手間がありますが、オープンスタンスは後ろ足を決めるだけで打つ準備が整います。
リカバリーに関しても、打った後に下半身が正面を向くため、オープンスタンスは軸足を蹴ってすぐに戻ることができます。
また、オープンスタンスは体重移動を計算に入れる必要がないため、軸足でボールとの距離がとりやすいです。
もし、オープンスタンスで距離をとり間違えても、調整しながら打つことも可能です。(後で解説します。)
両足を地面につけるスクエアスタンスやクローズドスタンスには、オープンスタンスほどの応用力はありません。
フォアハンド側でラケットを横に伸ばした場合、オープンスタンスをとるともっともリーチが長くなります。
次に、オープンスタンスのデメリットを見ていきます。
- 身体が開きやすい
- 浅いボールや推進力のないボールが打ちにくい
- バックハンド側ではリーチが短くなる
- 片手バックハンドでは肩が回ってしまう
身体の回転を積極的に使えるオープンスタンスですが、十分な捻りが作れていないと身体が開きすぎてしまうリスクがあります。
十分な捻りが作れないと、アウトサイドインのスイングになってしまいます。
初心者にオープンスタンスをおすすめしないのは、十分な捻りが最初は作れないからです。
スクエアスタンスでスイングを固めてから、オープンスタンスに取り組むのが無難です。
向かってくるボールを呼び込んで返球しやすいオープンスタンスですが、浅いボールや推進力のないボールは少々打ちにくいです。
こういったボールは、前足を踏み込んで体重移動を使って打てるスクエアスタンスやクローズドスタンスに分があります。
フォアハンドでは存分に力を発揮できるオープンスタンスですが、利き手でラケットを握っているためバックハンド側ではリーチが短くなります。
バックハンド側でオープンスタンスを使うためには、クローズドスタンスよりボールの後ろに入る必要があります。
オープンスタンスで片手バックハンド(トップスピンでもスライスでも)を打つときは、フォアハンドや両手バックハンドとは違い身体が回らないように気をつけないといけません。
ラケットをスイングするほうの肩が軸足の対角側にあるので、身体が回ると肩が動いてしまい、スイングがズレてしまいます。
オープンスタンスを使う場面
オープンスタンスは、下記の場面で使いやすいです。
- ボールが深いとき
- 高い打点で打つとき
- フォアハンド側に走らされたとき
- フォアハンドで回り込むとき
オープンスタンスに関する記事はこちら。
セミオープンスタンスとオープンスタンスの違い
スクエアスタンスと違い、クローズドスタンスとオープンスタンスは大きく括った名称です。
ほんの少しクローズド気味なスタンスから極端なクローズドスタンスまで、ひとまとめに「クローズドスタンス」と呼んでいます。
オープンスタンスに関しては、オープンの度合いによって2つに分ける場合もあります。
- セミオープンスタンス
- オープンスタンス
スクエアスタンスとオープンスタンスの中間がセミオープンスタンスです。
従って、スタンスを4種類に分ける場合は下記のようになります。
- スクエアスタンス
- クローズドスタンス
- セミオープンスタンス
- オープンスタンス
ここでは、セミオープンスタンスとオープンスタンスの違いを紹介します。
細かくオープンスタンスを分けた場合【セミオープンスタンス】
【後ろ側から見たところ】
オープンスタンスの両足の位置は、状況に合わせていろいろ考えられます。
軸足ともう片方の足の位置関係によって、セミオープンスタンスとオープンスタンスに分けられます。
打つ方向に対して、軸足がもう片方の足より後ろに決めた場合をセミオープンスタンスと呼んでいます。(ボールを身体の右側で打つ場合、軸足は右足。ボールを身体の左側で打つ場合、軸足は左足。)
セミオープンスタンスでは、軸足のつま先がスクエアスタンスのように横を向き、身体のターンを深くとれます。
身体のターンが深いため、クロスから逆クロスまで幅広く打ち分けることが可能です。
セミオープンスタンスはスクエアスタンスよりボールを引きつけて打てるので、コースも読まれづらいメリットがあります。
深いボールが来たときは、軸足を引いて自然とセミオープンスタンスをとることが多いです。
また、幅広く打ち分けができることから回り込んで打つときにも重宝するスタンスです。
セミオープンスタンスに関する記事はこちら。
細かくオープンスタンスを分けた場合【オープンスタンス】
【後ろ側から見たところ】
打つ方向に対して、軸足がもう片方の足と横に並ぶ、もしくはもう片方の足より前に決めた場合をオープンスタンスと呼んでいます。
オープンスタンスで身体を積極的に回す場合は、軸足のつま先を斜め前向きにセットします。
セミオープンスタンスと比べると、オープンスタンスは身体のターンが浅くなり、クロス方向に打ちやすくなります。
横や斜め前に走らされたとき、お世話になるスタンスです。
また、フォアハンドストロークのグリップが厚いと、身体を積極的に回すためオープンスタンスを使う比率は上がります。
【テニスのスタンス】結局のところどれがいいの?
結局のところ、どのスタンスを使えばいいの?
結論としては、すべてのスタンスを状況によって使い分けるというのが答えです。
また、同じ場面でもテニスのレベルやプレースタイル、グリップの握り、何を優先させるかによってもスタンスは変わります。
ただ、どのスタンスを使ったらいいかわからない方のために、【リーチ・ボールの入りやすさ・コースの打ち分け】を考慮して、適したスタンスをまとめておきます。(オープンスタンスはひとまとめで考えています。)
【フォアハンドストローク】
→オープンスタンス
→浅いボールはスクエアスタンス
【バックハンドストローク】
→クローズドスタンス
【スマッシュ】
→デュースサイドから打つときはスクエアスタンス
→アドバンテージサイドから打つときはクローズドスタンス
【サーブ】
→クローズドスタンス(コンチネンタルグリップより握りが厚いなら打つ方角に対してスクエアスタンス)
あくまでも目安です。実際には、状況に応じてより細かくスタンスを使い分ける必要があります。
スタンスを使い分ける際、スタンスの大まかな長所と短所も整理しておきましょう。
- 【クローズド】コースが読まれづらい
- 【オープン】かかる時間も動きも実戦的
- 【スクエア】少ない労力でボールが打てる
- 【クローズド】身体が回しづらい
- 【オープン】強い下半身が必要
- 【スクエア】打てる場面が限られている
また、技術の向上にスタンスを活かすなら、下記の特性を理解しておいてください。
- 【クローズド】テイクバックが作りやすい
- 【オープン】身体が回しやすい
- 【スクエア】両方のバランスがとれている
スクエアスタンスは、テイクバックの作りやすさも身体の回しやすさも中間のスタンスなので、初心者のスイング習得に適しています。
【テニスのスタンス】両足を決めた後ボールとの距離が合わないときはどうする?
スタンスを決めた後、ボールとの距離が合わないときはどうしたらいいの?
スタンスを決めたときに、ピッタリ打点で打てれば問題ありませんが、予測が外れてしまう場合もあるかと思います。
オープンスタンスなら、前後左右に打点がズレても軸足でジャンプもしくは蹴って、空いている足で着地しながら打つことができます。
スクエアスタンスやクローズドスタンスの場合、左右のズレには弱いですが、ボールが予想より短い場合は前にジャンプしながら前足1本で着地するフロントホップで対応できます。
ボールが予想より深い場合は、体重移動の距離を調整したり、後ろ足1本で立って上体を後ろに傾けて打点を前にとる方法があります。
最後に…
以上、スタンスの種類と特徴についてでした。
スタンスを使い分けるためには、どのスタンスをとっても上半身の動きやスイングが同じようにできないといけません。
また、それぞれの特性を理解して、何を優先するかでスタンスを決める訓練も必要です。
スタンスによって、準備にかかる時間、ボールに届くリーチ、コースの打ち分けの範囲、リカバリーにかかる時間は違いますので…
この記事で、グリップの握りに合ったスタンスを見つけたり、状況に応じてスタンスを選択できるようになれば幸いです。
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ボールを打つときのスタンスっていくつあるの?