「ボールをフラットで打てない。ボールに回転がかかってしまい、失速していく…」と悩んでいる方へ。
この記事を書いているわたしは、20年以上テニスに関わっていて、テニス業界に10年くらい携わっていました。
わたしがテニスを始めたころは、トップスピンで打つことが重要視されていました。
今では、技術も道具も進化して、よりスピーディーに攻撃できるフラット(正確にはフラットドライブ)で打つ技術が求められています。
本記事では、フラットでボールをとらえる方法やどんなときにフラットを生かせるかお話しします。
テニスのフラットで打つ方法【練習方法も紹介】
フラットでボールを打つ上で知っておきたい「マインド・スキル・練習方法」を解説します。
テニスのフラットで打つために必要なマインド
まずはフラットで打つ上で知っておきたいマインドからです。
テニスでボールをフラットに打つのは、簡単のようで難しいです。
フラットな当たりで打つと、推進力のある直線的なボールになりますが、コントロールするのが難しくなります。
テニスを始めて最初にボールを打つときは、ボールに回転をかけないフラットな当たりからスタートします。
最初に覚えるボールの当て方なので簡単のように思えるのですが、実際に各ショットのスイングを覚えると回転をかけて打ったほうがボールをコントロールしやすいことに気づきます。
ボールに回転をかけて当たりを薄くして打てるようになると、フラットでとらえる厚い当たりが打てなくなったりします。
フラットで打てたとしても、ボールを思うようにコントロールできません。
フラットを使いこなすことは高等技術なので、フラットで打てないことを悩む必要はありません。
時間をかけて習得するものだと思ってください。
テニスのフラットで打つために必要なスキル
フラットで打つために必要なスキルは下記のとおりです。
- ボールの後ろから前に振り抜くスイング
- インパクトでボールの真後ろをとらえられるラケット面
上記のどちらかが欠けてしまうと、ボールに回転がかかってフラットでは打てません。
ボールの後ろから前に振り抜くスイング
フラットに打つには、ボールの後ろから前にラケットを振り抜くスイングが必要です。
ボールに回転ではなく、最大限の推進力を与えるためです。
グランドストロークなら打点の高さにラケットを用意して、地面と水平に振ります。
サーブやスマッシュでは、最大外旋位でラケットヘッドが打つ方向の後ろ側を向くようにします。
インパクトでボールの真後ろをとらえるラケット面
フラットで打つには、インパクトでボールの真後ろをとらえる必要があります。
ラケット面が傾いた状態でインパクトを迎えてしまうと、ボールが飛ぶ方向がずれ、回転がかかります。
インパクトでボールの真後ろをとらえるためには、テイクバック時にラケット面がどの方向を向いていればいいかを知っておく必要があります。(スイング中にラケット面の向きを操作しながら打つのは難しいです。)
グリップの握る厚さによって、テイクバックでのラケット面の向きは変わりますので、インパクトから逆算してテイクバック時のラケット面の向きを確認しましょう。
グランドストロークでは、グリップが厚いほど、テイクバック時にラケット面が後ろを向く傾向があります。
サーブやスマッシュでは、グリップが薄いほどラケット面が下を向いていきます。(標準のコンチネンタルグリップではラケット面はちょうど横方向を向きます。)
また、インパクトで正確なラケット面を作る必要があるので、リストはある程度固めたままスイングします。
スピードを出そうと手首をこねてしまうと、ボールをコントロールできなくなります。
フラットで打つためには、ボールがラケット面で転がらないようにボールの真後ろをとらえましょう。
テニスのフラットで打つ練習方法
フラットで打つ練習方法を、グランドストロークとオーバーヘッド(サーブやスマッシュ)に分けて紹介します。
グランドストローク
グランドストロークでフラットを打つ練習は下記3つをオススメします。
- ハンドトスでサービスラインから打つ
- ショートラリー
- 球出しでドライブボレー
1つ目は、ハンドトスをサービスラインから打つ練習です。
ベースラインから打つと飛距離を出さないといけないため、ボールが放物線を描く下から上のスイングになりがちです。
サービスラインから打つときは、打点を落とさずラケットを水平に振って直線的な弾道で打ちます。
どのレベルでもできる練習方法です。
2つ目は、ショートラリーです。
ショートラリーをするときにフラットをソフトな当たりで練習します。
ラケットを水平に振り、ボールの真後ろをとらえますが、コツはゆっくりラケットをボールに近づけることです。(手だけではなく、身体を回転させながら近づけます。)
フラットでとらえているかゆっくり確認しながら練習ができます。
ただし、テイクバックを大きくとったり準備が遅いと、スイングが忙しくなり、当てるだけになってしまいます。
水平なスイングをフォロースルーまでとれるように、コンパクトなテイクバックと早めの準備が必要です。
ライブボールでの練習になるため、難易度は高めです。
3つ目は、球出しでドライブボレーの練習です。
ラケットを水平に振らないと、ボールに威力が出ません。
ノーバウンドでボールを打つので、厚い当たりで打つ感覚がつかみやすい練習です。
厚いグリップで当たりがかすれてしまう方にオススメです。
オーバーヘッド
オーバーヘッドでフラットを打つ練習は下記3つをオススメします。
- ボールを地面に叩きつける
- スマッシュ
- 短い距離からサーブ練習
1つ目は、ボールを地面に叩きつける練習です。
ボールの真上をとらえて、地面に叩きつけます。
フラットでとらえる感覚をつかむにはもってこいの練習です。
2つ目は、フラットサーブを強化するのにオススメなスマッシュです。
スマッシュ練習を積み重ねることで、フラットサーブは強化できます。
ネットの近くからなので容易にフラットで叩く練習ができ、テイクバックしたところからのスイングにフォーカスして強化できます。
スマッシュ練習が定期的にできなければ、壁打ち練習でスマッシュの練習量を増やす方法も考えられます。
3つ目は、短い距離からのサーブ練習です。
サーブ練習を短い距離から始めることで、難易度を落とすことができます。
最初はサービスラインくらいから、フラットサーブを打ちます。
徐々に距離を伸ばしていけば、無理なくサービスボックスにコントロールできます。
サービスボックスからの距離を変えることで、飛距離を調節する練習にもなります。
テニスでフラットはどんなときに使うか?
テニスでは、ボールに回転をかけるスキルだけではなく、ボールの回転量を調節するスキルが必要です。
現代のテニスでは、ボールの回転量を抑えたものがフラット(正確にはフラットドライブ)という位置づけです。
回転量を抑えたフラットをどんなときに使うか紹介します。
ネットに近くて高い打点で打てるとき
まずは確実に仕留められるときです。
ネットに近くて高い打点で打てるとき、すなわちチャンスボールのときはフラットで叩けます。
ネットするリスクが少なく、コートに入る確率が高いからです。
ネットより高い打点で打てれば、フラットで打ってもコートに収まります。
相手のボールが浅くなり、ベースラインより前で打てる場面がフラットで打つチャンスです。
失敗するリスクはあるけれど攻撃したいとき
失敗するリスクはあるけれど攻撃したいときもフラットは使えます。
相手にスキがあったり、オープンコートが空いていれば、失敗するリスクがあってもフラットで打てば決まります。
例えば、下記のようなときです。
- ファーストサーブでセンターを狙うとき
- シングルスでクロスラリーからストレートを狙うとき
- シングルスでパッシングをストレートに打つとき
- ダブルスでセンターに打ち抜くとき
- ダブルスでストレートアタックをするとき
フラットの精度が高ければ高いほど、使う頻度は上がります。
ゆっくり打ちたいとき
ゆっくり打ちたいときにもフラットは使えます。
ボールに回転があまりかかっていないので、相手に打ちやすいボールを送ることができます。
使う場面は下記のようなときです。
- ショートラリーのとき
- ロングラリーで相手に打ちやすいボールを送りたいとき
- 打ちやすいサーブを送りたいとき
- なんとかとったボールをスマッシュでつなぎたいとき
- ボレーでつなぐとき
主に、コーチが生徒に対して使ったり、苦しいときにしのぐフラットです。
以上、「テニスのフラットで打つ方法【練習方法も紹介】」でした。