

どうした?何かあった?

並行陣の練習に入ってから、グランドストロークを打つ機会が減りました。レッスンが終わっても、モヤモヤした気持ちが収まりません…

なるほど、原因は並行陣か…
こんにちは、リョウジです!
並行陣とは、後衛もポジションを上げて、2人が協力しながらネットプレーで戦うダブルスのフォーメーション(陣形)です。
テニススクールだと、初中級くらいから徐々に学ぶ陣形です。
並行陣は雁行陣より展開が早く、ペアのコンビネーションも重要度が増します。
並行陣を学び始めると、慣れ親しんだグランドストロークを捨て、慣れないネットプレーで戦わなければならないので、ダブルスが一気に難しく感じます。
わたしはテニスコーチをしていたとき、並行陣で間違えやすい配球やポジションをいろいろ見てきました。
この記事では、その経験を踏まえ「並行陣で覚えておきたい基本的な戦術」を解説します。
この記事を読むことで、自分の配球やポジションが今のでよかったのか判断できるようになるはずです。
少しでも、並行陣のわからないが解決してくれれば幸いです。
【並行陣】必要な技術
雁行陣から一気に難易度が上がる並行陣。
まず、並行陣にはどんな技術が必要になるのか確認しておきましょう。

並行陣の練習に入ってから、そんなにグランドストロークを打つ機会が減ったのかい?

はい。それだけではなく、気持ちよくグランドストロークが打てないんです。今まではグランドストローク同士のラリーで楽しかったんですが、今はボレー対ストロークの練習ばっかりで…

逆に考えれば、並行陣をとると相手は気持ちよくグランドストロークが打てないということになるね。

確かに。でも、並行陣をとるのもしんどいです…

今まで雁行陣しか知らなかった人が並行陣で戦えるようになるためには、いろいろな技術を学ばなければならない。大きく分けると下記の3つになる。
- 後衛がポジションを上げる方法を身につける
- サービスライン一歩前での返球
- ペアでの連携

やることがいっぱいですね。並行陣を覚えるなら、グランドストローク同士で打ち合っている場合ではないかも…

グランドストローク同士の打ち合いも土台を作るうえで大切だけどね。下記の記事に詳しく書いてあるので、確認してみて。
【並行陣】特徴
並行陣の特徴を簡単にまとめると、下記のようになります。
- 相手ペアの時間を奪うことができる
- ペアでの役割分担は雁行陣と同じ
- 後衛もチャンスがあれば攻めに転じることができる
並行陣のポジションと雁行陣との違いや共通点も一緒に見てみましょう。
並行陣のポジション

コーチ、並行陣のポジションをもう1度教えてもらえますか?

わかった。並行陣の基本ポジションは下記のようになるよ。
【前衛のポジション】
→サービスボックスの中央
【後衛のポジション】
→サービスラインの1歩前あたり

後衛は、センターラインとシングルスのサイドラインの中間より外側にポジションをとるよ。身体は、2人ともボールが飛んでくる方向に向けておいてね。

相手の後衛がボールを打つなら、2人とも相手の後衛に身体を向ければいいですね。
雁行陣との違い

ところで、並行陣は雁行陣と何が違うかわかるかい?

この前、レッスンで習いました!確か、並行陣の前衛は下記の2つが雁行陣と違います!
- 頭上に来たボールをある程度返球する必要がある
- ポジションを前後に動かない

そうだね。じゃあ、後衛は?

並行陣と雁行陣の後衛では、3つの場面すべてにおいて使うショットが違います。だから、本当にしんどい…
- つなぐとき
- 攻撃するとき
- 前衛をカバーするとき

でも、慣れたら並行陣で使うショットのほうがどれも楽だよ。
雁行陣との共通点

最後に、並行陣と雁行陣の共通点を見ておこう。
- 攻撃するときとつなぐときのコース
- 攻撃担当と守備担当がいる
- 前衛の頭上にボールが上がったときは声をかけあう

雁行陣でやってきたことは、並行陣にも生きてくるということですね。

そうだね。並行陣の特徴については、下記の記事に詳しくまとめているので、こちらも読んでみてね。
【並行陣の後衛】コースはどう打ち分ける?
並行陣を習い始めると、後衛はどうコースを打ち分けたらいいのか最初は迷うと思います。
さらに、後衛が攻める「縦ポーチ」という新しい言葉も登場し、訳がわからなくなります。

コーチ、並行陣の後衛はどうコースを打ち分けたらいいのかわかりません。

基本的には雁行陣の前衛と同じだよ。
- つなぐときは相手の後衛に送る
- 攻めるときは相手前衛の足元を狙う

ただ、攻めるときの判断が難しい。ハイボレーで叩けても、攻めていいときといけないときがあるよ。
【前につめながら打てる】
→相手前衛の足元に攻める
【サービスライン近くでしか打てない】
→相手後衛につなぐ

確か、並行陣後衛が前につめて攻撃することを「縦ポーチ」というんですよね。相手前衛の足元ばかり攻めていたら、慣れてきて返されませんか?

もう1つコースを用意しておくなら、下記をおすすめしておくよ。
- センターに浮いたらセンターへ
- サイドに浮いたらアレーへ

なるほど。センターに浮いたボールをアングルに打つとサイドアウトするリスクがあり、サイドに浮いたボールをセンターに打っても相手後衛に返されそうですね。下記の記事で、もう1度確認してみます。
【並行陣】相手からストレートロブが上がったらどうする?
並行陣で相手からストレートロブが上がると、対応方法は雁行陣より複雑になります。
ポジションチェンジする場合、後衛がノーバウンドで返球するかワンバウンドで返球するかで状況が異なるからです。

コーチ、並行陣で相手からストレートロブが上がったときの対応があやふやなんですが、教えてもらえませんか?

わかった。並行陣のストレートロブの対応は、下記の4パターンを覚えておけば大丈夫だよ。
- 前衛がスマッシュで返球
- 前衛がバックボレーで返球
- 後衛がノーバウンドで返球
- 後衛がワンバウンドで返球

それぞれどこを狙ったらいいか、まとめておくね。
- 前衛がスマッシュで返球
→相手の前衛に打ち込む - 前衛がバックボレーで返球
→相手の後衛につなぐ - 後衛がノーバウンドで返球
→相手の後衛につなぐ - 後衛がワンバウンドで返球
→相手の後衛につなぐ

ただし、「後衛がワンバウンドで返球」するときは注意が必要だよ。他の対応と違って、並行陣が崩れ雁行陣に戻る。逆に、相手は並行陣もとれる。

ロブを追いかけ走りながら打つので、かなり苦しい返球になりますね…

そのとおり。だから、最初のうちは相手の後衛にしぼって返球するのがおすすめだよ。相手の後衛のポジションを確認してから返球しよう。
【相手の後衛がベースラインにとどまっている】
→深く返球
【相手の後衛がサービスライン付近まで上がってきた】
→足元を狙う
【相手の後衛がネットにつめていた】
→ストレートロブで返球

むむむ。緊急時にこの判断は難しいですね…下記の記事を読んで、復習してみます。
【雁行陣 対 並行陣】雁行陣の前衛はどう動く?
「雁行陣 対 雁行陣」だと、お互いの前衛はボールを追いかけるように前後にポジションを移動します。
ここでは「雁行陣 対 並行陣」になったとき、雁行陣側の前衛はどう動けばいいかを見ていきます。

並行陣の前衛は基本的に前後へ動かないのはわかったんですが、相手の雁行陣側の前衛はどう動けばいいですか?

並行陣側の前衛は攻撃のポジションにいるのに対して、雁行陣側の前衛は守備のポジションにとどまることになる。つまり、T字の付近が基本ポジションだよ。

「雁行陣 対 雁行陣」のように、前後に動かなくていいんですね。これは楽でいいや。

ただし、相手の前衛と後衛の両方から攻撃される可能性があるので、前後に動かなくても忙しいよ。すぐにボールが返ってくるしね。

なるほど…じゃあ雁行陣側の前衛は、どんなときにポジションが変わりますか?

例えば、下記の場合に雁行陣側の前衛はポジションが変わるよ。
- 並行陣の後衛のサイドにボールがいったとき
- 並行陣の後衛の足元にボールがいったとき

どうして、「並行陣の後衛のサイドにボールがいったとき」にポジションが変わるんですか?

「雁行陣の前衛がそのままT字にいると、ストレート(アレー)に打たれたときやられてしまう。センターラインとシングルスサイドラインの中間くらいまで横に移動すれば、ストレートに来ても手を伸ばせばボールを返せるよ。

じゃあ、「並行陣の後衛の足元にボールがいったとき」はどうしてポジションが変わるんですか?

雁行陣側の前衛はポーチができるチャンスだからさ。並行陣側の後衛がラケットを低く用意しているのがわかったら、ボールが飛んでいく方向に1歩前進するんだ。

たった1歩ですか?そこからポーチって厳しくないですか?

そうだね。でも、早くネットにつめてしまうと、並行陣側の後衛はストレートやロブボレーでかわせてしまう。T字から1歩前進したところでとどまり、飛んできたボールに対して斜め前につめながらポーチするんだ。

かなりの高等技術ですね…

相当練習は必要だね…並行陣側の前衛にロブが上がったときも、雁行陣側の前衛はポジションを変える必要があるよ。詳しくは、下記の記事を読んでみて。
【2バック】もう1つの並行陣
並行陣は1つではありません。
ペアがベースラインに並ぶ「2バック」という並行陣もあります。
ネットで戦う通常の並行陣とは真逆の陣形「2バック」がどんなとき有効か見ていきます。

コーチ、「2バック」という陣形はどんなときに使えばいいんですか?

基本的には、前衛が前にいても意味がないときかな。例えば、下記のような状況だね。
- ロブを上げてスマッシュを打たれるとき
- リターンをポーチでやられるとき
- 前衛がネット前よりベースラインで戦ったほうが強いとき

なるほど。得意なグランドストロークで戦えるなんて、いい陣形ですね。

2バックは守備重視の陣形だけど、ネットプレーよりグランドストロークに自信があるなら試してみるといいかもね。ただ、ネットの前に大きなスペースができるので、ドロップボレーやアングルボレーを警戒しておこう。

わかりました!下記の記事で、戦略を練ってみます。

「並行陣 対 2バック」で練習するとダブルスのポジションが学べるよ。詳しくは、下記の記事を読んでみてね。
最後に…
並行陣の基本的な戦術を見てきました。
並行陣と雁行陣では共通の戦術もあるので、下記の記事も合わせて読むと、さらに並行陣の理解が深まるはずです。
並行陣の基本的な戦術を理解したら、実戦で試して身体に覚えさせましょう!
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